その他

モーニングスター、資産運用業界の女性活躍状況を調査

モーニングスター・ジャパンは、3月8日の国際女性デーに合わせ、日本の資産運用業界における女性の活躍状況を調査し、その結果を発表した。調査は、日本の大手資産運用会社7社を対象に、運用部門に従事する女性の割合や、各社の女性活躍推進施策について分析したものだ。

女性比率は依然として低水準

調査によると、資産運用会社の運用専門職における女性の割合は平均17%にとどまった。特に、自社運用戦略を担うポートフォリオ・マネジャー(PM)の女性比率は14%と低く、外部委託戦略のPM(28%)やアナリスト(16%)と比べても少ないことがわかった。また、日本の資産運用業界全体の女性比率は米国と比較して低い傾向にあり、米国ではPMの女性比率が16%、アナリストが25%であった。

女性の離職率が高い背景

日本全体の労働市場においても、女性の離職率は男性より高い傾向にある。厚生労働省のデータによると、女性の離職率は徐々に低下しているものの、依然として男性より高く、結婚・出産・育児・介護といった個人的な事情が主な理由となっている。資産運用業界においても、同様の理由で女性のキャリア継続が難しくなるケースが多く、結果として運用専門職の女性比率が低くなる要因の一つとなっている。

業界全体の取り組みと課題

資産運用会社では、社内ネットワークの構築や柔軟な働き方の推進、教育機関との連携などを通じて、女性比率向上に向けた取り組みが進められている。特に、2022年に発足した「Asset Management Women’s Forum(AMWF)」は、業界を超えた女性のキャリア開発とネットワーキングの機会を提供しており、現在では多くの大手運用会社が参加している。

しかし、女性比率が低い背景には、出産・育児によるキャリア継続の難しさや、管理職・専門職への昇進機会の不足があると指摘されている。今後は、より多くの女性が資産運用業界で長期的に活躍できるよう、企業側のさらなる支援と環境整備が求められる。

今後の展望

多くの企業が管理職の女性比率30%を目標に掲げる中、資産運用業界も女性の活躍を推進するための具体的な施策を進めている。教育機関との連携強化や、柔軟な勤務制度の導入に加え、男性の育児休暇取得促進も含めた包括的な取り組みが必要となるだろう。

また、女性の離職率を低下させるためには、仕事と家庭の両立を支援する仕組みの強化も不可欠だ。フレックス勤務やリモートワークの拡充、育児支援制度の強化など、女性がキャリアを中断せずに働き続けられる環境を整備することが、業界全体の持続的成長につながると考えられる。

本調査を通じ、日本の資産運用業界が多様性を重視し、より持続可能な成長を遂げるための課題が改めて浮き彫りになった。

→モーニングスター「日本の資産運用業界における女性活躍」(https://www.morningstar.com/ja-jp/lp/women-in-asset-management-japan)

Related Articles

Back to top button