東京海上アセットマネジメントの藻場再生に向けた取組みに鎌倉高校が参加

東京海上アセットマネジメント株式会社は、2024年から湘南漁業協同組合鎌倉支所と共同で鎌倉における藻場再生に向けた取組みを行っている。今回新たに神奈川県立鎌倉高等学校が参加し鎌倉での磯焼け問題に関する共同研究を開始する。
取組みの背景
東京海上アセットマネジメントは、藻場再生に向けた取組みの背景について次のように述べている。
近年、気候変動が地球環境および経済・社会活動に及ぼす悪影響は、世界的な問題として関心が高まっています。特に、自然生態系への影響に関する議論が活発化しており、2021年に開催されたCOP26における「グラスゴー気候合意」で、世界全体に及ぶ危機である気候変動と生物多様性の損失は相互関係にあることが改めて確認されました。
そのような状況の中、海洋国家である日本において藻場を育む海藻・海草は、GHG(Greenhouse Gas)吸収による脱炭素を進めるだけでなく、日本の伝統的な食文化や健康産業において重要な役割を果たし、更に沿岸漁業の対象となる魚種の40パーセント近い種類が藻場・干潟に依存して生存しているなど生物多様性の観点でもとても重要な存在です。
しかし、近年藻場は深刻な危機に直面しています。特に、環境変化や人間による環境汚染等によって、海藻が激減する「磯焼け」と呼ばれる現象が深刻な問題となっており対策が求められています。
今回の取組みの内容
鎌倉は日本の歴史的な都市で、源頼朝によって武家政権が樹立された場所である。幕府の開設者である頼朝は、政治、軍事、外交、文化などの面で鎌倉を日本の中心地にした。和賀江島を通じて中国との交易が盛んに行われ、禅宗、禅宗様建築、仏像彫刻、彫漆など様々な海外文化がもたらされた。現在鎌倉は古都保存法において古都として認定を受ける10市町村の1つで、神社仏閣や自然環境に恵まれ、現在でも多くの観光客が訪れる街となっている。
そのような歴史ある鎌倉で1928年に設立された鎌倉高校は、2025年に文部科学省が指定する「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に認定されるなど先進的な科学技術、理科・数学教育に力を入れて来た。今回探究学習の一環として、鎌倉における海の磯焼け問題をテーマに生徒自らが課題について学び、新たな解決策の研究などを進めて行く。具体的には磯焼けの問題の一つであるウニの活用策の検討や効果的な海草・海藻再生の研究などを実施する予定。
今回の共同研究は、東京海上グループ(東京海上日動火災保険株式会社 横浜ベイサイド支店を含む)を中心にした企業と、湘南漁業協同組合鎌倉支所の若手研究会(株式会社もんざ丸の前田氏を中心としたメンバー)が協力し研究を進める。
目指す姿
鎌倉由比ガ浜において、元々は材木座和賀江島周辺にはアマモ、坂ノ下周辺にはカジメなど海草・海藻が生い茂る自然豊かな海が広がっていた。しかし、近年では地球温暖化に伴う海水温の上昇や魚による食害などにより急速に藻場が消滅し、結果として海藻をエサにするアワビやサザエなど魚介類の収穫量が大きく減少した。今回の産学連携の研究を通じて、鎌倉の海の再生を目指して取り組む。
《東京海上アセットマネジメントのサステナビリティ》
東京海上アセットマネジメントはこれらの取組みを通じて、金融の力を使い海洋や農業などの分野で脱炭素と生物多様性保全の推進に貢献することを目指す。また、技術ある会社との連携や未来世代への教育を通じて日本経済の発展に貢献してゆく 。今回の鎌倉高校との取組みをきっかけにプロジェクトを活用したSDGs型教育プログラムの検討も進める。